2)各技法について/事例1
 各技法について  ‥‥事例1
 
自己効力という概念が各技法とどう結びつくか事例をもとに考えていきましょう。
 
事例1紹介

【事例1】

 Kさんは、 食事指導に対しては
「はい、わかりました」
と小さな声で返事をし、
「そんな大きな目標、私には無理ですよ。すみません、いつもできなくて。でも、どこが悪いんだろう」
と申し訳なさそうに平謝り。

「そんなに大きな目標、私には無理ですよ。」
‥‥‥‥‥
高い目標への実行不能感
    ステップ・バイ・ステップ法
「すみません、いつもできなくて。でもどこが悪いんだろう。」
‥‥‥‥‥
自分の変化に気づいていない。
自分の行動のどこに問題があるかわかっていない。
    セルフ・モニタリング法
  ステップ・バイ・ステップ法
 高い目標への実行不能感を抱いているKさんに対して、医療スタッフはステップ・バイ・ステップ法の導入を計画します。
 ステップ・バイ・ステップ法は、一度にハイレベルな目標を達成するのではなく、小目標をたてて段階を追って実施していく方法です。少しずつ成功体験を積み重ねることで自己効力が高められると言われています。
ステップ・バイ・ステップ法
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  セルフ・モニタリング法 ‥活用事例

 さらに、Kさんは、自分の状況を客観的に判断できていないことから、セルフ・モニタリング法の導入を計画します。
 セルフ・モニタリング法は、達成しようとする目標に向かっている途中の、自分の行動や体調、気持ちの変化を観察、記述する方法です。望ましい行動によって良い結果になることを客観的に理解することが、自己効力感を高めることにつながります。
 セルフ・モニタリング法では、次の2点を設定します。
 (1)具体的な達成目標と行動目標
 (2)身体面、認知面、感情面などの広範囲な観察項目
 観察項目では患者様が目標を達成するまでの葛藤なども理解できるようにすることが必要です。記述の際には“最も満足しているのを10とすると、今日の満足度はいくつか”というように、観察項目は測定可能なものとして作成します。

セルフ・モニタリング法の観察項目
(例)
観察項目(例)
観察項目 観察項目(例)
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【Kさんの目標】
達成目標:体重増加を最高でもドライウエイトの7%に抑える。
行動目標:氷を食べるのは、一日20個までに減らす。
事例1の記録グラフ 事例1の体重増加率の変化
 Kさんの場合、まずはステップ・バイ・ステップ法で体重増加を7%に抑えることができたという成功体験を確認し、またセルフモニタリング法によって体調および気持ちの変化の確認を行うことで自己効力感を高めることができました。
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