聞き書きの方法
聞き書きにはいろいろな方法があり,標準化された聞き書きの方法はありません。岡研究室では,小田の方法1)を参考にアレンジした方法で行っています。その聞き書きの方法は以下の通りです。
A.「じっくりEASE(イーズ)プログラム」による「冊子型・じっくり聞き書き法」
岡美智代,齊藤詩織,井手段幸樹(2017).「じっくりEASE(イーズ)プログラム」における「聞き書き」について―慢性疾患患者の語りを冊子やカードにする看護支援―.日本慢性看護学会誌,11(1):34-382) 参照
- 話を聞いてみたい人を探したり,ポスターを掲示して,語りたい人に名乗り出てもらう。
- 語り手が見つかったら,主旨や方法を説明して了解を得る。
- お会いする日程を決めて,思う存分語っていただく。許可を得てICレコーダーに録音!
- テープ起こしをして逐語録作成。
- 逐語録やメモから,「自分史」を作成。聞き手の質問は消し,語り手に語らせる。
語り手になったような気持ちで書くことが大切。
医療的に誤解を生じさせる内容は注釈をつける。
- 冊子としての体裁を整える。
- 印刷して,冊子体の「自分史」にする。
- 「自分史」の内容や固有名詞を,語り手に確認してもらう。タイトルを語り手自身につけてもらう。他者への配布の可否も確認。
- 裏表紙に聞き手の感想を,日付と共に記す。
- 修正した「自分史」を,ご依頼のあった冊数お渡しして完了。
- ここで,自分史を見た感想をまた語っていただくと,効果が確認できる。
B.「じっくりEASE(イーズ)プログラム」による「冊子型・ながら聞き書き法」
- 実践の中で気になる患者様にケアをしながら,患者の語りを聞く。
- その語りを,その場でメモしたりナースステーションでメモをとる。
「その話おもしろいからメモをとっても良いですか?」、「〇〇さんのことを知りたいんですけど,お話ししていただいて良いですか?メモもとっても良いですか?」など。
- 「今度,他の看護師が続きを聞かせていただいても良いですか?」と尋ね,他の看護師も話を聞く。
- 以下,Aの5と同様。
C.「じっくりEASE(イーズ)プログラム」による「カード型・ながら聞き書き法」
- 患者との会話で,印象に残ったところをメモしたり,記憶に残しておく。
- 自分がイメージした対象者像をふくらませる。特に対象者の良いところをイメージする。
- 対象者の口調や言葉を生かしながら,対象者を特に表す語りを数行でよいので書き起こす。
- 患者の元気が出るような(レジリエンシーが高まる)カードを作る。(A4用紙二つ折りのような形態でよい)
カードに患者の言葉を記入したり,シールやイラストなどを使い、自由に飾り付ける
- 患者にカードを確認してもらい,タイトルを患者自身につけてもらう
- できあがったカードを患者にプレゼント。
↓「体験してみよう!聞き書き」のページも是非ご覧ください↓

引用文献
(1)小田豊二:聞き書きをはじめよう,図書出版木星舎,福岡,2012
(2)岡美智代,齊藤詩織,井手段幸樹(2017).「じっくりEASE(イーズ)プログラム」における「聞き書き」について―慢性疾患患者の語りを冊子やカードにする看護支援―.日本慢性看護学会誌,11(1):34-38