語り手である対象者自身にとっての効果
聞き書きでは、語り手が今まで歩んできた人生が浮かび上がるように、語り手が話した言葉を残しながら文章にします。対象者は自分の物語を手に取って物理的にも視覚的にも確認する。そのため、聞き書きは傾聴や共感を具現化できる、一歩進んだ看護といえます。
聞き書きは、語り手である患者にとっては、医療者との信頼関係の構築、レジリエンスやリフレイミングの向上につながる効果があると思われます。また、聞き手である看護師にとっても、患者との関係性において生き生きとした流れや動きを感じられる関わりであり、語り手に変わって自分史を作成することにより、話を聞くだけの関わりよりもさらに語り手の気持ちや生き方が体感できる関わりでもあります(岡ら,2017)。 聞き書きカードとある患者さんへの聞き書きの効果