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活用事例

生きがい連結法とセルフ・モニタリング法 活用事例

事例紹介

中川秀行(仮名)

55歳/男性/タクシー運転手/慢性腎不全(原疾患 腎硬化症)/血液透析歴5年

労作性狭心症により、3週間入院。入院中よりニトログリセリンを処方される。退院後、通院で夜間透析を続けている。11年前に離婚。その後、一人暮らし。30歳の息子がいるが離れて暮らしている。中川は、水分コントロールがうまくゆかず、再三の水分制限の必要性を説明するが、行動に変化はなかった。

方法の選択

生きがい連結法

食事や水分管理は中川さんのストレスの原因にもなるため、すぐ挫折する恐れがあります。そこで、生きがい連結法を選択し、水分管理と中川さんの生きがいを関係づけて意欲を高めることにしました。

中川‥‥「いきなり、生きがいって言われてもねぇ。」
看護師‥‥「じゃ、大切にしていることとか、楽しみにしていることは何ですか?」
中川‥‥「寄席に行って落語を聞くことかな‥‥。しかし、なんだな。このままじゃ、いつかは、寄席に行くこともできなくなっちまうのかい。」

その結果、寄席に行くためにも、水分管理を行い心臓への負担を減らすという、中川さんが大切にしていることと、目標の行動を結びつけることができました。

セルフ・モニタリング法

中川さんは自分の行動を正確に把握していなかったため、行動を客観的に把握できるセルフ・モニタリング法を活用することにしました。

目標

具体的な行動目標は、中川さんと話し合った結果、「ビールを大ジョッキから中ジョッキにする」こととした。
観察項目は、行動面として「ビールのジョッキの大きさ」、感情面として「ビールを我慢したときのつらさ」、認知面として「自分に対する満足度」とした。

プログラムの実施

開始当初は、約束を忘れて大ジョッキを飲んでしまったこともありましたが、実施1週間後には、中ジョッキでも喉の渇きが少なくなったことを実感できたようです。

結果・考察

日を追うごとにビールを我慢した時の辛さが減り、自分への満足感も高まっていることがわかります。イライラ感も喉の渇きも減少していることがわかります。
体重増加が少ないと透析中に血圧が下がらなくなった、などの身体的変化によるメリットを自覚することができるようになりました。そして、何より水分制限を今後も継続しようと中川さん自身が思ったことが最大の収穫です。

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